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コロナ対策にも!換気で室内の空気環境を整えよう

住まい

人は1日に14,400ℓと驚くほど大量の空気を吸っているとされています(※1)。その分、空気環境がもたらす健康への影響は大きく、世界で拡大している新型コロナウイルスの感染防止対策としても「換気」の重要性が指摘されています。そこで今回は、上手な換気方法や快適な暮らしに必要な空気環境についてご紹介いただきます。

※1:空調機メーカー資料より(肺活量や気温、その他条件でこの数字は変わります。)

健康に大きな影響をもたらす空気環境


日々の生活をする中で、何気なく吸い込んでいる空気。その空気の中には、ウイルスをはじめ、花粉や有害な物質など、目には見えない汚染物質がたくさん含まれています。90年代に住居内の空気汚染が原因で発症するシックハウス症候群が社会的な問題となったことから、健康に暮らすためには、空気環境が大きく関わることが分かってきました。昭和の頃はそれほど多くなかった花粉症が、いつの間にか国民病と言われるようになるなど、人間の生活習慣やスタイルの変化により、昔は身体への影響が大きくなかったものが時代とともに影響が出るようになったと言われています。

また、昨今問題となっている新型コロナウイルスをはじめ、ウイルスによる感染症対策の観点から見ると、家の中の空気をいかに上手く入れ替えるかということが大事になります。一般的にウイルス対策としても、定期的に換気をすることが効果的です。空気が与える身体への影響は大きく、健康のためには、室内の空気環境を整えることが重要になります。

空気環境を整える「換気」の基本

寒い冬に感染症対策を含めて上手く換気をするポイントは「温度・湿度を高く保った状態で、空気を入れ替える」ことです。
正しい換気を行うために、まずは家の空気の流れを確かめましょう。室内の風向きを確認する方法は、風があるときに窓を開けて、ティッシュや紙テープなど軽いものを垂らし、なびく方向を見て判断します。2、3部屋以上ある家は、部屋と部屋の関係性もあるので、空気の流れを確認してから、換気を行いましょう。


窓の開け方と適切な時間は、1時間に5分ほど窓を大きく開けることがおすすめです。例えば、窓を少し開けた状態を長時間続ける場合と、1時間に5分ほど窓を全開にした場合を比較すると、短時間で大きく開ける方が空気の入れ替え効果が高いとされています。窓を開けっ放しにすると、常に空気は流れますが、二酸化炭素の濃度は余り下がりません。また、換気をしすぎることもNG。温度や湿度がどんどん下がってしまい、ウイルスにとって好ましい環境を作る原因となってしまいます。また、家族人数が多い住まいでは、少し多めに換気することを心がけましょう。

温度と湿度を保つコツは、寒い時期の場合、まず部屋を閉め切り、温度を高い状態にします。その上で加湿を行い湿度を上げましょう。温度・湿度ともに高い状態が維持されると、5分ほど窓を開けて温度が下がっても、窓を閉めると元の温度・湿度に戻るようになります。温度は20~22度、湿度は40~60%が望ましいです。反対に、温度・湿度が高くなりすぎるとカビや結露の原因になるので注意しましょう。

24時間換気システムの仕組みを知ろう!


2003年7月以降、シックハウス症候群の対策として24時間換気システムを設置することが義務化されました。換気システムには3種類あり、一般的な住宅では、リビングや各部屋の壁にある給気口から外気を取り込み、キッチンや洗面所にある天井排気口から外に空気を排出する「第3種換気方式」が導入されています。外気を自然と取り入れながら、換気扇が回り続けて排気するようになっているので、常に室内の空気が循環される仕組みです。

また、ファンによって強制的に給気と排気の両方を行うことができる「第1種換気方式」も住宅用として使用されています。より効率的に換気ができるだけでなく、外気を直接室内に入れずフィルターでチリやホコリ、花粉などを除去してから入れるため、室内の空気をクリーンに保つことができます。

「第1種換気方式」の場合、熱交換を行いながら換気ができる「熱交換型換気システム」を備えることが可能です。外気と内気の熱を交換しながら換気を行うことで、室内の温度が上昇・下降しにくい仕組みになっています。
住んでいる地域の気候や環境に応じて、室内を快適に過ごせる換気システムを選ぶことが重要です。日々の定期的な窓開け換気を併用して活用しましょう。

導入する換気システムによって設備の仕組みは異なりますが、空気が出入りする給気口や排気口にはフィルターが付いています。花粉をはじめ、外気に含まれるあらゆる汚染物質を家へ入り込まないように防ぎます。そのため、フィルターには汚れが溜まっていくので、こまめな清掃や交換が必要です。汚れが溜まったままのフィルターを使い続けていると、外気を上手く取り入れることが出来ず、効率の悪い換気になってしまいます。交換頻度は家庭によって異なりますが、数ヶ月に一度はチェックするようにしましょう。

計画的な換気で住まいの劣化も防ぐ!


室内の空気を入れ替えることは、身体の健康だけでなく、住まいへのメリットもあります。適切な換気を行うことで、カビや結露の発生を少なくすることができ、住まいの劣化を防ぐことにつながります。また、人間が生活をしていると水蒸気が発生しますが、換気ができていないと壁の中へ入り込み、木造住宅の場合は木材を腐らせてしまう原因になる可能性も。住まいの耐久性や美観を保つという点でも、適切な換気は重要です。

世の中が大きく変わっていく中では、状況に合った換気を考えていかなければなりません。新型コロナウイルスをはじめ、目には見えない大きなリスクから身体を守るためにも、室内の空気環境を整えていく必要があります。技術の発達により、適切な換気を生活に取り入れることは可能です。室内の空気環境を整えることの重要性を知って、健康で快適な住まいづくりを目指しましょう。

教えてくれたのは
近畿大学 建築学部長 岩前 篤 教授

1961年生まれ。80年に神戸大学工学部建築系環境計画学科に入学、86年に同大学院を修了し、住宅メーカーに入社。研究所で住宅の断熱や機密に関する研究開発に携わる。2003年より近畿大学建築学部教授に就任。建築環境システム研究室にて、建築物内外の温熱や湿度、空気環境とエネルギーについて研究。

Note

「炭の家/ピュアエア」のご紹介

フジ住宅の「炭の家/ピュアエア」は、家中の空気をクリーンに保つ、カーボンエアクリーンシステムを採用した家です。
「第一種換気方式」により屋外の空気をファンで強制的に取り入れ、「微小粒子用フィルター」で微小な有害物質をブロック。さらに「炭」を床下に敷き詰め、そこに空気を通すという二重の対策を行うことで、クリーンな空気を各部屋に供給します。
室内の汚れた空気は強制的に排出されるため、24時間家中クリーンでキレイな空気を保ちます。